秘密の兄妹
第9章 幸せを感じるとき
「無理だな。」
俺は大地の頼みをあっさりと断る。
「何で?」
「【いい子】だから、今付き合ってる奴と簡単には別れねえと思う。」
「……確かに、そうだな……」
納得すんの早えな…
そんなに紫織の性格の良さ、周りの奴らに浸透してんのか……。
「わかった。じゃあ、代わりに今夜は俺にとことん付き合え!」
「はぁ、お前、本当にめんどくさいよ。」
大地はそう言う俺の顔を見ると、ぼそっと呟く。
「女はこんな酷い男のどこがよくて告白してくんだろ……」
「顔じゃねえ?」
「うわっ!お前、やっぱり嫌な奴!!紫織ちゃんは顔と性格の良さ、一致してるのに!!」
紫織、紫織、うるせえよ……
だいたい俺の顔しか興味ねぇような女、俺が好きになるわけないだろ…
俺が好きになんのは無条件で俺を必要としてくれる女だ。
そう…紫織みたいな……
あんな綺麗な心をもった天使みたいな女……
俺のためにバランス考えて毎日食事を作ってくれて、掃除や洗濯もしてくれる。
勉強もスポーツもできるうえ、可愛くて気が利いて、本当に完璧で
それなのに、俺がいないと生きていけない……
そんな女だ…
お前には紫織は絶対にあげられない……。
俺はそう思いながら、ウーロン茶を飲んでいる大地を睨みつける。
「……なあ、悠人、お前って……」
「何?」
「いや、何でもない…」
風磨は途中で何かを言いかけると、すぐに黙った。
…みんなめんどくせえ。
早く家に帰って紫織の顔見たい……
昨日、紫織とヤりまくったから、晩ごはんも今日の朝ごはんも一緒に食べてやれなかった……
せっかく紫織が一生懸命作ってくれたのに…