秘密の兄妹
第9章 幸せを感じるとき
お兄ちゃんが外出したあと、私はお風呂に入って自分の部屋で休んでいた。
最近、お兄ちゃんに抱かれるたび虚しさが募っていく。
「もっと大事にされたいなあ……」
私がこんなこと思うのは我が儘かな……
ピンポーン
突然インターホンが鳴ったので急いで1階に下りて、インターホンごしに外を見る。
あっ、武部さん…お兄ちゃんに何か用かな……
私は玄関のドアを開けた。
「こんにちは、紫織ちゃん。」
「こんにちは…。あのっ、お兄ちゃんなら今出かけていていませんけど……」
「うん、知ってる。大地の家だろ?俺も誘われたから。」
武部さんは優しく笑うと、手に持っている箱を見せる。
「これ、ケーキ2人分買ってきた。モンブランとチーズケーキ、少し2人でお茶しない?家にあがらせてもらってもいいかな?」
勝手に武部さんを家にあがらせたら、お兄ちゃん怒るかな……
でも、せっかく来てくれたのに、このまま帰ってもらうのはちょっと…
「武部さん、どうぞあがってください。」
私は微笑んで答える。
武部さんにリビングのソファーに座ってもらい、紅茶の用意をする。
「ねえ、紫織ちゃん、今日も両親はいないの?」
「はい。両親はめったに帰って来ません。もう、お兄ちゃんと2人暮らしみたいなものです。」
紅茶をいれながら私はそう答える。
「どうぞ。お兄ちゃんがイギリスに修学旅行に行ったときにお土産に買ってきてもらった紅茶です。美味しいですよ。」
武部さんの前に紅茶を置くと、武部さんにぐいっと腕を掴まれる。