秘密の兄妹
第9章 幸せを感じるとき
「ぐすっ…ぐすっ…」
あったかい……
お兄ちゃんは一度も私のこと、こんな風に抱きしめたりしてくれたことなんてない。
武部さんは私の頬を伝う涙を手で拭うと、私の顔に自分の顔を近づけてくる。
「…んっ…」
優しいキス……
涙か溜まっている目を開けると、武部さんが私の頬を撫でながら聞いてくる。
「嫌だった?」
私は首を横に振った。
武部さんは、私の腰に片方の手を伸ばし、もう片方の手を私の頭に添えると、今度はさっきよりもさらに深いキスをしてくる。
「んっ…ぅん…ちゅっ…くちゅっ」
武部さんの舌が私の舌をゆっくりと絡めとる。
しばらくの間、私たちはディープキスをし続けた。
唇を離すと、武部さんは穏やかな顔で笑う。
「やっぱり可愛いや、紫織ちゃん。」
「え…」
「キスしてるときの仕草とか、少し身体が震えてるところとか凄く可愛い……」
「…………」
キスして可愛いだなんて、初めて言われた…
「ねえ、紫織ちゃん。俺、紫織ちゃんとしたい…だめかな…?」
「…だめ…だって私が言ったら、武部さんはどうしますか…?」
お兄ちゃんは無理やりする……
「しないよ。紫織ちゃんのこと好きだから傷つけるようなこと、したくない。」
「…………」
武部さんのその言葉に胸の奥が熱くなった。
「……私の部屋に行きましょう……。するならちゃんとした部屋がいいです……」