秘密の兄妹
第10章 嫉妬
俺は紫織を抱き上げて、自分のベットに寝かせた。
気を失って眠っている紫織の頬に触れる…
「…何で俺以外の男に身体を許すんだよ……」
自分がこれほど惨めに感じたことはなかった。
俺は紫織の愛し方が分からない……
紫織を普通に愛してあげられない
こんな何にもしてやれない俺を裏切った紫織の気持ちも、少し分かる気もした。
俺は本当の意味で紫織の寂しさを埋めてあげられない。
兄貴だから
制限されることがどうしても多くなる
でも、手放せないんだ……
ごめんな、紫織……
本当にごめん……
――――――
――――
――
紫織が目を覚ましたあと、すぐに紫織のことを抱いた。
一刻も早く、紫織に残る春樹の残り香を消したかった。
だけど紫織は、俺に抱かれている間中、ずっと泣き通しだった。
行為が終わって、俺がコンドームの処理をしている時も紫織は泣いていた。
俺はベットに横になり、泣いている紫織に聞く。
「…そんなに春樹のことが好きか?」
紫織は俺の瞳を見つめるとぐすぐすっと泣きながら答える。
「あのね、武部さんね、私を抱くとき額やまぶたにキスしてくれるの……」
「…………」
「他にも、頭を撫でてくれて、私のことぎゅって抱きしめてくれる……」
「そういう行為一つ一つで、自分が愛されてるって感じられて幸せな気持ちになるの……」
「【好きだよ】とか【可愛い】とか、私に告白してくる他の男の人にも言われたことがあるけど、武部さんは行動で示してくれるの…」
「…………」