秘密の兄妹
第10章 嫉妬
俺は紫織の顎に手を添えると、紫織の額とまぶたに口づけをした。
紫織は驚いた顔で俺の顔を見つめていた。
「…他はなんだっけ…?頭を撫でて抱きしめるんだっけ……?」
俺は紫織をぎゅっと抱きしめると、紫織の頭を優しく撫でた。
体を離し、紫織の顔を見る。
「これでいい?」
「…………」
「これからはお前を抱くたびに、こういうこと全部してやる。だから、お前は春樹とは二度と関わるな。」
紫織は目をうるうるとさせる。
「お兄ちゃん、もう一つだけお願いしてもいい?」
「何だ?」
「お兄ちゃんとえっちしてないときでも、一日一回、いつでもいいから毎日私のことぎゅうって抱きしめて。そしたら、もうお兄ちゃん以外の人とはえっちなことしない……」
「…分かった」
「紫織、携帯貸して」
紫織はベットの隅に放り出されてあった携帯を探し出し、俺に渡す。
「春樹のアドレス消す。いいな…?」
「…うん」
紫織は素直に頷いた。
紫織の携帯から、春樹のアドレスを削除する。
そして、今度は自分の携帯を取り出すと、俺は紫織の目の前で、さっき撮った動画と写真をすべて消去した。
「お兄ちゃんっ…ありがとう……」
紫織はぽろぽろと涙を流した。
こんなに、好きな女に何もしてやれないような奴に、「ありがとう」だなんて言うなよ。
馬鹿だな、紫織……