秘密の兄妹
第11章 心の変化
―始業式の朝―
俺が朝食を食べるために下の階に下りると、真新しい高校の制服を着た紫織が、エプロンを外して俺に声をかけてくる。
「お兄ちゃん、おはよう!」
「…おはよう」
紫織の高校の制服姿を見て、俺は思わず息をのんだ。
中学の頃とはあまりに違いすぎる
長い手足に、ほどよく膨らんだ胸
細い腰…
顔立ちもどこか大人びて見える。
本当にあの紫織か……?
いつの間に…こんなに女っぽくなったんだ…?
制服が変わるだけで、こんなに変わるものなのか……?
「お兄ちゃん、ごはん食べよ?」
「……ああ」
俺はダイニングの椅子に座り、紫織がよそってくれた味噌汁に口をつける。
何だか…紫織が綺麗すぎて緊張する
「なあ、紫織…」
「うん?」
「お前、今日、化粧かなんかしてるか?」
俺の質問に紫織は首を傾げる。
「してないよ?何?…私どこか変?」
「いや…」
じゃあ、何で制服変わったくらいでそんなに綺麗なんだよ……
こんな姿で学校なんか行ったら注目の的になる。
高等部からは、エスカレーター式の中等部からの生徒の他に、受験をして入ってきた新しい新入生も入学してくる。
紫織はただでさえモテるのに、これ以上人気が出たら困る……
春樹に一度、紫織を奪われてから紫織の大切さが痛いほど分かった。
俺は紫織じゃないとダメだけど、紫織は俺じゃない男とでも幸せになれる女だ。
きっといつかは俺から離れていく
いつか…離れていくんだ……