秘密の兄妹
第11章 心の変化
2人で歩きながら俺は紫織に話しかける。
「…なあ紫織、今日、お前、何人の男に告白された?」
「えっ…?」
俺は隣を歩いている紫織の方を向く。
「教えて……何人?」
紫織は目をおどおどさせながら答える。
「……5人。でも全部断ったよ。何?もしかして焼きもち…とか?」
「…んなわけねえだろ…」
紫織は俺の言葉を聞いて下を向く。
「お兄ちゃん、今日ね…1年生の女子の間で、すごく格好いい先輩がいるって噂になってて【誰かな…?】と思ったらお兄ちゃんのことだったの……」
「…………」
紫織は俯いていた顔を上げて俺の瞳を見る。
「私…すごく不安になってね、お兄ちゃんのこと独り占めしたくてお兄ちゃんと一緒に帰りたいと思って、気づいたらお兄ちゃんの教室まで迎えに行っちゃってた……」
……紫織も俺と同じ気持ちだったのか……?
俺は紫織の手を引いて、狭い路地に入る。
そして紫織のことを抱きしめた。
「…今日はまだぎゅってしてないだろ…。紫織、今はお前がいるから俺は誰とも付き合うつもりはない…だから安心しろ」
「…でも、いつかは私たち離れなきゃね……」
「…………」
「私、今のお兄ちゃんのこと大好きだよ。ここ最近すごく優しいし、今日も友達より私のこと選んでくれた。」
「本当は教室に迎えにいったとき【面倒臭い】とか言われて、お兄ちゃんに一緒に帰るの断られると思ってたの……だからすごく嬉しい」
紫織は俺の胸の中で目を閉じる。
「お兄ちゃんの心臓の音が聞こえる……。私、今、世界中で一番お兄ちゃんの近くにいるんだね……」
「…………」