秘密の兄妹
第11章 心の変化
キスをやめると、お兄ちゃんは私のことを強く抱きしめた。
「今、けっこう幸せだよ。お前が俺のセックスの相手してくれるからかなり満足…」
「…じゃあ、本気で好きな人とセックスできたら、お兄ちゃんはもっと幸せになれるね……。私じゃお兄ちゃんのこと本当の意味では幸せにしてあげられないんだ……」
「…………」
私とセックスしても所詮、妹だもん。
どんなに身体の相性が良くても気休めにしかならない。
私は下を俯いて泣きそうになる。
「紫織…」
「なに?」
「俺、お前のこと大事だよ…」
「えっ?」
お兄ちゃんの口から出た意外な言葉に、私は思わず顔を上げた。
「ちゃんと紫織のこと大事に思ってる……それだけは覚えておいて……」
「うん…でもそれに関しては私の方が勝ってるよ。今の私が一番大切にしているのはお兄ちゃんだもん。私の世界の中心はお兄ちゃんだもん。」
「……こんな兄貴が一番だなんて馬鹿な妹……」
そう言うと、お兄ちゃんは不器用な笑顔で微笑んだ。
「…………」
この頃から私の中の何かが少しずつ変わっていった。
――――――
――――
――
「よう!悠人、おはよう。」
「おはよ…」
俺は眠そうにしながら風磨と廊下を歩く。
廊下を歩いていると春樹に会った。
「…………」
「悠人、おはよう。」
「ああ…」
3年になって春樹は受験組になったため、春樹とはクラスが変わった。
「なあ春樹、今日俺、携帯忘れちゃってさ、時間見たいからちょっと携帯貸して。」
「ああ」
俺は春樹から携帯を借りると、アドレスのページを開いて春樹の携帯に登録されている紫織のアドレスを削除した。