秘密の兄妹
第11章 心の変化
紫織はクラス全員分の解答用紙を受け取る。
そこへさっき騒いでいた女たちがやって来て、紫織のクラスの教室に入ってきた。
俺はとっさに身を隠す。
「あれ?紫織ちゃん大量の紙束持ってどうしたの?…まさかそれって3限にやった国語の小テスト?」
「あっ…村上さん……」
え…?村上ってこれからミレニアムのライブに行く奴だよな?
「……それ、原田先生に国語係の私に採点するようにって頼まれたの…?」
村上が不安そうに聞いてくる。
紫織はにこっと笑って答える。
「ううん、私が採点するように言われたの。私、今、先生に、委員会に行ってる由香のこと待ってるの暇だって言ったら、だったらこれお願いねって言われて。」
…先生も紫織もさっき、そんなこと一言も言ってなかったぞ……
「そうなんだ…じゃあ、悪いけどお願いしてもいい?」
「うん。」
……紫織の奴、村上がライブに行くこと知ってる…?
まさか、それ知ってて一人残って自分が国語の採点するつもりなのか……?
「じゃあ、紫織ちゃん頼んだね。バイバイ!」
「うん、バイバイ!」
みんなが教室から出ていって一人になると、紫織は席について国語の漢字の小テストの採点を始めた。
俺は紫織のクラスの教室に入る。
「紫織…」
「あっ、お兄ちゃん。」
紫織は俺のことを見ると、申し訳なさそうに口を開く。
「もしかして今日、一緒に帰ってくれるつもりだった?」
「ああ…」