秘密の兄妹
第11章 心の変化
「ごめんね。私、急に国語の漢字の小テストの採点するように頼まれちゃって少し帰り遅くなる。お兄ちゃんは先に帰ってていいよ。」
「…なあ、お前の友達の由香って奴は?いつもそいつといるのに今日はいないみたいだけど……」
「彼氏とデートだって。ホームルーム終わったらすぐに帰ったよ。」
……委員会に行ってるんじゃねえのかよ……
村上って奴が気にしないように嘘ついたのか?
馬鹿じゃねえの?そんなの誰にも感謝されねえのにどこまでお人好しなんだよ……
俺が紫織の前の席に座ると、紫織は嬉しそうな顔をする。
「まさか待っててくれるの?」
「せっかくだからこのまま待つよ。」
「ありがとう、お兄ちゃん。じゃあ、急いで採点するね。」
紫織はそう言うと小テストの採点を始める。
綺麗な手で小テストの丸つけをする紫織。
静かな教室に紫織の採点をするペンの音が響く。
馬鹿でお人好しな紫織が可愛くて愛しくてしかたがない。
「紫織…」
「なあに?」
紫織は採点をしながら返事をする。
「…キスしていい?」
「えっ?」
紫織は顔を上げる。
俺は紫織の瞳を真っ直ぐ見つめる。
「紫織と今、キスしたい……」
「でもっ、ここ学校だし誰かに見られたら大変だよ…?」
「さっきから全く人の気配ねえだろ?」
「でもっ」
「もう遅い…」
俺は紫織の腕を掴むと紫織にキスをした。