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秘密の兄妹

第14章 罪と罰

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「ねえ、美加、まさかまた今日も玉砕?」



「……うん。」



「変よね。悠人ならすぐに美加の相手してくれると思ってたのに……」



加奈子が不思議そうに首を傾げる。



「…加奈子…私ね、中2のとき本気で悠人のこと好きだったの……

だから、悠人にセックスさせてって言われたとき、私、初めてですごく怖かったけど、悠人に身体を許したの……

なのに悠人、今日、私のこと面倒臭い女よばわりしてきた……

許せない……

悠人に痛い目あわせてやりたい……」



美加は沈んだ顔をして、下を俯く。



「美加…」



加奈子が美加の肩に優しく手を置く。



「……んっ?…ねえ、美加…あそこのスーパーの前にいるのって悠人じゃない?」



美加が加奈子の指さす方向を見ると、悠人がひとりスーパーの前に立っていた。



「……なんで悠人があんなところにいるんだろう……」



美加は不釣り合いな場所にいる悠人を見つめる。



美加が悠人のことをじっと見ていると、悠人の妹の紫織がスーパーの中から買い物袋を持って出てきた。



「お兄ちゃん、待たせてごめんね!」



悠人は、自分に駆け寄ってきた妹の頭を優しく撫でると、妹の持っているスーパーの袋を取り上げて、妹の代わりにそれを持った。



妹が嬉しそうに悠人に笑いかけると、悠人も妹に笑いかけた。



「……知らなかった……悠人ってあんな風に笑うのね……

私、悠人の笑った顔、初めて見たかも……

しかも、妹の荷物持つなんて意外に紳士的……」



「…………」



加奈子が物珍しそうに2人の様子を見ていると、美加は面白いものでも見つけたかのようにくすっと笑った。



「悠人の弱点見いつけた!!!」



美加の目には、悠人の妹の紫織が映っていた。






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