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秘密の兄妹

第16章 壊れかけの心





「私は大丈夫だよ。

お兄ちゃんのために負う傷ならどんなことでも平気。

私はお兄ちゃんが傷つく方が嫌…」



「……っ」



やめてくれよ…



頼むから、やめてくれ…



俺のためにアキラたちに体を許そうとしたり

俺なんかのために、美加たちに頭を下げたり

俺のことを泣きながら庇ったり

今は、俺が傷ついてないか心配して…



ただでさえ、お前のことが愛しくてたまらないのに…



これ以上、お前を好きになりたくない……



このままだと、本当にお前と離れられなくなる…



俺は紫織への想いを懸命に押し隠すように、紫織から自分の手を振り払った。



「…………」



「もう帰ろう…」



ごめん、紫織…



ごめん…



「…うん…」




――――――
――――
――

家に帰り、玄関で靴を脱ぐと、紫織はすぐに風呂を沸かし始めた。



「お兄ちゃん、先にお風呂に入ってもいい?

体育倉庫に閉じ込められてたから、体が埃っぽくて気持ち悪い…」



「ああ…」



紫織はそう言うと、風呂に入る準備をするために、2階の自分の部屋に真っ直ぐ上がっていった。



風呂が沸くと、紫織はすぐに風呂に入った。



紫織が風呂に入っている間、俺はリビングのソファーで、ひとり項垂れていた。








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