テキストサイズ

秘密の兄妹

第16章 壊れかけの心





―昼―

紫織と沢村が俺のクラスにやって来て、みんなで食堂へ向かう。



「…お兄ちゃん、私、自販機でジュース買ってくるから先に行ってて。

由香はお兄ちゃんたちと一緒に行って席取っておいて。

お昼、先に食べてていいから」



「紫織、今日、お昼食べないの…?」



沢村が心配そうに紫織に聞くと、紫織は顔を曇らせた。



「【食べなきゃいけない】って思うと、それが逆にストレスになって、無理に食べようとすると、吐き気を感じちゃうの……」



「そう…

じゃあ、紫織の席もちゃんと取っておくから、急がずゆっくり行ってきなね」



「うん、ありがとう、由香」



紫織はにっこりと沢村に笑いかけると、ひとり自販機へ向かっていった。



★★★★★★

俺達はそれぞれ、学食のメニューを選んで、テーブルに座る。



「なあ、沢村

紫織ちゃん、授業中とか休み時間は普通に過ごしてるの?」



大地が大盛りの牛丼を食べながら、沢村に話しかける。



「……休み時間は普通です。

でも、授業中は……」



そこまで言うと、沢村が突然口ごもる。



「授業中、紫織ちゃん、どこかおかしいの…?」



大地も俺も、動かしていた箸を止める。








ストーリーメニュー

TOPTOPへ