秘密の兄妹
第16章 壊れかけの心
「昨日と今日と、授業中、紫織ときどき居眠りしているときがあるんです
しかも、目から涙を流しながら…」
「…………」
沢村の言葉に俺達は皆、黙る。
「先生や他の生徒も、その姿を見たら誰も注意とかできなくて…みんな見て見ぬふりをしてるんです
あんな紫織見るの初めてで、私もどうしたらいいか分からないんです」
「…………」
「あっ、ここにいたんだ。自販機混んでて遅れちゃった!
ごめんね」
沢村の話を聞いていると、紫織がアイスティーを持って俺達のテーブルにやって来た。
紫織は由香の隣に座ると、その場の雰囲気を和ませるように穏やかに微笑む。
「みんな、ごはん食べる手が止まってるよ。
私のことは気にしなくても平気だからちゃんと食べて?
お兄ちゃんも由香も、橘さんも神保さんも、ね?」
紫織が明るくそう言うと、風磨がAランチの自分の味噌汁を紫織にそっと差し出した。
「……?」