秘密の兄妹
第16章 壊れかけの心
「紫織ちゃん、飲み物は飲めるんだよね…?
この味噌汁飲みな。」
「……えっ、でもこれ橘さんの……」
「俺は学食のお茶があるから味噌汁いらない。
味噌汁の味噌は大豆で出来てるし、発酵しているから体にいい。
それにあったかいから胃にも優しいと思う。
味噌汁の具は残していいし、味噌汁も無理して飲む必要はない。
食べ物を残す罪悪感とかは何も感じる必要はない。
自分の飲める範囲でいいから飲んでみな」
風磨はそう言うと、紫織に優しく笑いかけた。
「…ありがとうございます」
紫織は嬉しそうに少し口元を緩めると、差し出された味噌汁を口に含んだ。
「…あったかい…」
その日、紫織は具は残したけど、味噌汁の汁だけは全て飲みほした。
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「橘先輩、神保先輩、じゃあまた明日!高瀬先輩は放課後、紫織を迎えに来てくださいね。」
沢村が俺達に手を振ると、紫織は風磨と大地に向かってペコッと頭を下げた。
「…………」