秘密の兄妹
第17章 春樹と風磨
「…俺はこの力を誰かを傷つけるためじゃなく、誰かを守るために使いたい…
じいちゃんの骨を粉々にしたときにそう思った……
だから…」
俺は自販機の前にいる、春樹に向かって、左手で拳を握り、春樹の頭めがけて正拳突きをした。
!!!!!!!!
春樹の額の寸前で手を止める。
「だから、もし、この先、悠人や大地、紫織ちゃんや沢村…その他に、俺の大事にしている奴らに近づいたら、俺はお前を敵とみなして本気で戦う。
まあ、せいぜい頭蓋骨が粉砕しないように注意しとけよ。
俺だって昔、ダチだった奴、殺したくねえから」
そう言うと、俺は飲み終えた缶コーヒーの缶をごみ箱に捨てた。
「じゃあな、春樹…」
「…っ、おい!待てよ!!」
「…何?まだ何か用あんの?死にたいわけ?」
「お前、何で悠人と大地なんかとダチやってんの?
あいつら馬鹿だし、あんな奴らとつるんでんの馬鹿らしくなんねえか!?」
「…悠人は、どうしょうもない奴だけど、いつも不安定で…何かに怯えてるような感じがして…黙って見てられない」
「大地は分かりやすいから、一緒にいて楽。」
「お前なんかと一緒にいるよりずっといい。
俺はあいつらを本気でダチだと思ってるよ…」
俺は春樹にそう言うと、その場を後にした。
「…………」