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秘密の兄妹

第17章 春樹と風磨




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春樹と別れて、渡り廊下を歩いていると、向かい側から遥が歩いてきた。



「あっ、風磨…」



「…よう、久しぶり…」



「うん…」



「中3の頃より綺麗になったな…」



俺が遥かにそう言うと、遥は俺の胸の中に抱きついてきた。



「…やっぱり私、風磨と付き合ってた時が、一番幸せだった……

すごく大事にしてくれたし、いっぱい甘えさせてくれた……

また、風磨とやり直したいな…駄目?」



遥が目に涙を浮かべて俺の顔を見上げてくる。



「もう無理だよ…

終わったことだ」



俺がそう言うと、遥が下を俯く。



「…やっぱり、まだあの子のこと好きなの…?」



「あの子?」



遥の口から出た、意外な言葉に俺は少し驚く。



「…まさか、風磨、自分でも気づいてないの?

私が浮気したのも、風磨があの子のことばかり気にしてたからなのに……」



「あの子と話すときの目つきも、笑い方も、他の誰といるときよりも優しそうにしてる…」



「あの子って誰?俺には全く身に覚えがない…」



「…本当に気づいてないの…?

風磨がずっぅと一途に想い続けてる子のことだよ。

今もそうでしょ?」



「………誰だ…?」



「分からないならいい…

もしかしたら、私の勘違いかもしれないから。

変なこと言ってごめんね…」



遥は涙を拭うと、俺に笑いかけて、廊下を足早に走っていった。










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