テキストサイズ

秘密の兄妹

第18章 すべての原因




―授業後―

風磨と大地に教科書類と筆記用具を預け、ひとり保健室に足早に向かう。



ガラガラ…



「失礼します」



俺が保健室に入ると、中には保健の先生の立野先生と校内カウンセラーの近藤先生がいた。



「あっ、高瀬くん、来てくれたのね。

紫織ちゃん、今、眠っているから少し静かにお願いね。

それよりも、こっちに来て、紫織ちゃんについて少し話を聞かせてちょうだい」



「…はい」



俺は素直に、先生がお茶を飲んでいる机の方に行き、空いている椅子に座った。



「紫織ちゃんが倒れて保健室に運ばれてきたときに、彼女がかなり痩せていることに気づいて、付き添いの沢村さんに何か知らないかって事情を聞いたら、ここ10日ほど食事がほとんど出来ていないって話してくれたの…」



「…………」



「それでね、目を覚ました紫織ちゃんに、食事が出来なくなったのはこの前のレイプされそうになった事件が原因?って聞いてみたの…

そしたら彼女、【違う】って…」



「…え?」



……違う?



「原因は自分で分かってるから心配しないでください。

全部、自分の問題ですって…そう言って、私たちに食事を出来なくなった理由を何も話してくれないの…」



「…………」



「だから、高瀬くんからその原因を何とか聞き出してもらえるか、この際、心療内科とかにつれていって専門のお医者さんに診てもらった方がいいんじゃないかって今、2人で相談してたのよ」



「…分かりました。俺から紫織に、その【本当の原因】を聞いてみて、もし、聞き出せなかったら心療内科につれていきます。」



「…お願いね。授業が終わるまでは、紫織ちゃんは保健室で預かるから、放課後、紫織ちゃんのこと迎えにきてもらえる?」



「はい」



俺は頷いて、保健室のベットで眠っている紫織の顔を見た。









ストーリーメニュー

TOPTOPへ