秘密の兄妹
第3章 お兄ちゃんが分からない
私は幸せを噛み締めながらキッチンでご飯をよそり、お味噌汁が入っている鍋に手を伸ばす。
「…なあ、紫織」
「なに?」
「お前、もしかしてキスも初めてだった?」
私はお兄ちゃんの方を見ずに答える。
「……初めてだったよ…。キスも、男の人に身体を見られるのも、…あんなことされるのも…全部、初めてだった……」
「そう…」
…昨日の夜に全部、お兄ちゃんに奪われた…
「紫織、昨日の約束忘れてないよな…」
「…大丈夫、ちゃんと覚えてるよ…」
私はお盆にご飯とお味噌汁をのせて、それをテーブルに運ぶ。
「用意できたから朝御飯食べよう。」
私は、お兄ちゃんの正面の席に座る。
自然とお兄ちゃんと目が合う。
お兄ちゃんは絡み付くような目をして私のことを見ていた。
私はお兄ちゃんから目を逸らす。
「…いただきます。」