秘密の兄妹
第3章 お兄ちゃんが分からない
2人で食事をしながら、私はお兄ちゃんに話しかける。
「お兄ちゃん、ご飯食べたあとスーパーに行ってくるね。」
「…父さんと母さんのためにごちそうでも作んの?」
「ううん、普通のごはんにする。たぶん帰ってこないと思うから…」
「ふうん…」
私はお箸を止めてお兄ちゃんの顔を見る。
「…でもね、心の中のどこかで、もしかしたら帰ってきてくれるんじゃないかっていう淡い期待を捨てきれないでいるの……」
私はお兄ちゃんに笑いかける。
「私って本当に馬鹿だよね?」
「……紫織、俺もスーパーの買い出しに付き合ってやるよ。」
「…いいの?」
「ああ…」
「ふふっ、すごく嬉しい…」
「…………。」
お兄ちゃんは黙って私の顔を見つめる。
「どうしたの?お兄ちゃん、ご飯冷めちゃうよ。」
「……うん…何でもない……」