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秘密の兄妹

第3章 お兄ちゃんが分からない




「ずいぶん買ったな。」



お兄ちゃんが買い物袋を持って私の前を歩きながら呟く。



「明日も休みだから明日の分と、明後日の朝食の分の材料も買っちゃったの。」



「…お兄ちゃん、荷物持ってくれてありがとう。」



「別に…」



「……お兄ちゃん。」



私はお兄ちゃんの背中に声をかける。



「…何?」



「お兄ちゃんの隣歩きたい……。2年前からお兄ちゃんの背中を見ながらしか歩いたことないから……。」



「…お兄ちゃんの隣歩いちゃだめ?」



「……勝手にすれば。」



ぶっきらぼうなお兄ちゃんのその言葉に私は微笑んで、お兄ちゃんの横に走り寄った。



お兄ちゃんの横に行くと、お兄ちゃんは私の手を引っ張って、私を車道側から歩道側に寄せた。



「…ありがとう……」



「…………。」



…優しい……



お兄ちゃんが私に優しくしてくれる……



私にはそれが嬉しくてたまらなかった。





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