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秘密の兄妹

第3章 お兄ちゃんが分からない




買い物を済ませ家に帰ると、俺は自分の部屋に戻った。



ソファーに腰を掛けて深くうなだれる。



…朝から紫織が可愛くてしかたがない…



俺が少し優しくしただけであんなに幸せそうな顔して……



しぐさとか動作とか…全てがいちいち可愛い…



何であんなに無駄に可愛いんだ…?



…こっちの身にもなれよ……



買い物のとき…腹の下、少し痛そうにしてた…



男には分からないけど、やっぱり初めては痛かったのか?



「……はあ…」



少し心を落ち着かせて、一階の紫織のいるリビングに下りていくと、紫織はソファーの上に体育座りをして下を俯いていた。



「…紫織、どうした?」



「あっ、お兄ちゃん…」



紫織は辛そうな顔をして俺を見上げる。



「一応、お父さんとお母さんに今日の予定を電話して聞いてみたの…。そしたら…やっぱり2人とも来れないって……」



「たぶん、お父さんもお母さんも今日が何の日なのかも気づいてない……」



「…分かってるつもりではいたけど、現実を突きつけられると辛いね…」



「…………」



「でも、私にはお兄ちゃんがいてくれるから幸せ……。お父さんとお母さんに感謝したい。私にお兄ちゃんを与えてくれてありがとうって…」



紫織はそう言って俺に笑いかける。



…紫織、今のはお前が悪い……



また…俺の理性を崩壊させた……



お前が悪い……



「…紫織、お兄ちゃんが慰めてあげるよ…」





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