
秘密の兄妹
第3章 お兄ちゃんが分からない
ポツ、ポツ……ザアァァ……
あっ…雨……
私は目を閉じて雨の音に耳を傾ける。
…雨は好き…
降っているとき、周りの騒音が消え、静けさが増していく。
汚れた空気が浄化され、大地が潤っていくのが分かる……
――――――
――――
――
パタン
トイレでコンドームの処理をして、紫織のいるリビングに戻ると、紫織は窓辺に座って庭先を愛しそうに眺めていた。
俺も窓の外に目を向ける。
…ああ、雨か……
俺は紫織の側に寄り、しゃがんで紫織に声をかける。
「お前、相変わらず雨が好きなんだな…。小さい頃、雨が降るとよくはしゃいでたし。」
俺は紫織に笑いかける。
「中3になった今でも、雨が降ると今日みたいによく窓の外、眺めてるだろ?」
「……気づいてたの…?今でも私が雨、好きだって…」
紫織は驚いた表情をして俺の顔を見る。
「お前のことはちゃんと見てたよ……。お前の知らないところで俺はお前のこと、ちゃんと見てた…」
俺の言ったその言葉を聞いた紫織の目から突然、涙がポロポロとこぼれ落ちた。
「紫織?」
