秘密の兄妹
第4章 兄の想い
「俺、紫織ちゃんのこと本気で好きだよ。俺のこともちゃんと考えてくれないかな?」
「…………」
ふと、何か凄い視線を感じて目を上に向ける。
「…!!!」
二階からお兄ちゃんが、私と武部さんのことを鋭い目で睨みながら見下ろしていた。
怖い…
これ以上、2人でいるところを見られたら家に帰って何をされるか分からない。
「ご、ごめんなさい!今の彼氏とても焼きもち妬きなんです。今後、私にあまり話しかけないでください。」
私がそう言って逃げるようにその場を離れようとすると、武部さんに腕を掴まれる。
「紫織ちゃん…もし何かあったら俺に何でも相談して。紫織ちゃんの彼氏が君にひどいことをしたら俺が許さないから。」
「……ありがとうございます。武部さん…ありがとう……。」
「…………」
「…それじゃあ、私は先に行きますね。」
私は武部さんに背を向けると、学校へ向かった。