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秘密の兄妹

第8章 天使と悪魔

―次の日―

「悠人、おはよう。」



「おはよう…」



風磨が俺の前の席に座る。



「悠人、お前、今日は珍しく学校に来んの早くね?」



「別にいいだろ。俺が学校に来んの早くちゃ悪いか?」



何となく紫織の体が心配で、こっそり後つけてきたんだよ。



あいつ、熱とかあっても表に出さないタイプだから…



「昨日は紫織ちゃんに傘貸してもらって助かったよ。実は傘忘れてかなり困ってたんだよね。」



「お前のほうが家近いんだから傘貸してって言っても、お前貸してくれないで一人でさっさと帰っちゃうし…。本当に紫織ちゃんがいてくれて助かった!」



風磨のその言葉に俺は耳を疑った。



…紫織が風磨に傘を貸した…?



「風磨、お前、紫織がその後どうやって家に帰ったか知ってて、紫織から傘借りたのか?」



俺の中で風磨に対して、じわじわと怒りが芽生える。



風磨は俺の質問の意味が分からないという顔をしている。



「紫織ちゃん、学校に折り畳みの傘がもう一本あるから、それをさして帰るって言ってたぜ。」



「ねえよ。」



「え…?」



「そんな傘、紫織は持ってねえ。あいつ昨日ずぶ濡れで家に帰ってきた…。」



…紫織はお前なんかのために、あんなに濡れて帰ってきたのか……?



俺のその言葉を聞いた風磨は下を俯く。



「俺が気にしないで帰れるように嘘ついたんだ……。相変わらず馬鹿がつくほどのお人好しだな、紫織ちゃん……」



「相変わらず?…お前、紫織の何知ってんの?」



…なんか、俺の知らない紫織がいるのはムカつく。






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