秘密の兄妹
第8章 天使と悪魔
「それよりもさ…お前と紫織ちゃんって本当に血が繋がってんの?」
「はぁ…?朝から何言ってんだよ。」
それよりもじゃねえ、今の続きの話をしろ。
「だって紫織ちゃんが天使ならお前、悪魔じゃん。」
どうせ悪魔だよ…
「…なあ、悠人。お前、紫織ちゃんがモテるのは見た目がすごく綺麗だからだと思ってるだろ?」
「他に何かあんのか?」
あいつの性格の良さなんて、俺だけが知ってればいい。
「お前、兄貴なのに全然分かってねえな。」
「まあ、見た目もそうだけど紫織ちゃんに告る奴らの大半は、みんなあの子の優しい所に惹かれてんだよ。」
「何?…紫織っていろんな男に優しくしてんの?」
愛想ふりまいて、他の男を惹きつけてるわけ?
「…いや、そういうんじゃなくて……紫織ちゃん本人は優しくしてるつもりないと思う。たぶん普通に生活しているだけ。」
風磨の言ってる意味、全然分かんねえんだけど……
「例えば…
高等部と中等部のグラウンドって繋がってるだろ?
それで、焼却炉とかも中・高共用じゃん?
紫織ちゃん、よくその焼却炉のゴミ捨て場の前で、一人でペットボトルの蓋の部分とプラスチックの部分を分別してる。
あんなの誰もやりたがらないのに……」
「……ふぅん。」
馬鹿じゃん…そんなのほっとけばいいのに……。