あなたへ
第1章 あなたへ
あれから俺らも大人になったんだとしみじみと感じる。
「……なぁ、ヨコ。」
「…ん?」
あのときと同じ、この道で俺はひなの隣を歩いている。
少しだけ狭くなった距離のなかで。
「…閉まってんで。」
「…は?マジで?」
気づけば着いていたうどん屋ののれんはもうなかった。
扉に張られた小さな紙には半年も前に店じまいされたことが書かれてあった。
「俺ら、そんな前からここ来てなかってんや。」
「…みたいやな。なんか早いな。」
ふとひなを見るとダウンジャケットのポケットに手を入れたまま、ただその紙を見ていた。
気づけば時は過ぎ、いろんなものが変わっていく。
この店も、俺らも。
あの時と同じようにして歩くこの道も、今は黄色いいちょうの葉はない。
「……なぁ、ヨコ。」
「…ん?」
あのときと同じ、この道で俺はひなの隣を歩いている。
少しだけ狭くなった距離のなかで。
「…閉まってんで。」
「…は?マジで?」
気づけば着いていたうどん屋ののれんはもうなかった。
扉に張られた小さな紙には半年も前に店じまいされたことが書かれてあった。
「俺ら、そんな前からここ来てなかってんや。」
「…みたいやな。なんか早いな。」
ふとひなを見るとダウンジャケットのポケットに手を入れたまま、ただその紙を見ていた。
気づけば時は過ぎ、いろんなものが変わっていく。
この店も、俺らも。
あの時と同じようにして歩くこの道も、今は黄色いいちょうの葉はない。