雪女がサンタクロース
第1章 雪女がサンタクロース
「わたくしの雪ん子を預かってくださって、感謝しております。あなたが丁重に我が子を扱い、楽しませてくださった事は、この子の笑顔を見ればよく分かりますわ。この礼は、こちらに……」
すると雪女の周りから、雪が吹き出し始める。冷たい空気に一同は思わず目をつぶり、冷える体に身震いした。
「……?」
吹雪が収まると、もうそこに雪女と雪ん子はいなかった。代わりに嘉明の膝の上に置かれていたのは、雪ん子と同じ重さをした黄金だった。
「うわ、すげえ! オレが雪ん子抱いときゃよかった!」
つい団右衛門は手を伸ばしてしまうが、その手は嘉明にピシャリと叩かれてしまう。
「雪女の贈り物……か。命の重みを大事にした分、誠意は返ってくるという事か」
「よかったですね、明さん。行いが良いと、得をするものなのですね」
「なあ嘉明、この金があれば正月は豪勢に出来るんじゃないか? 鮑とか鮭とか、いっぱい買い付けようぜ!」
自分のものでもないのにはしゃぐ団右衛門に対し、嘉明は金を眺めたまま考え込む。そして小さく頷くと、団右衛門に訊ねた。