雪女がサンタクロース
第1章 雪女がサンタクロース
「ね、あきちゃん」
「たのしそうだよ」
「ね!」
つぶらで無垢な瞳が嘉明を囲み、期待の視線を送る。拒否すればこの輝きがどうなるか。嘉明はたじろぎ、大きな溜め息を吐くと肩を落とした。
「……まあ、人間には禁教令が出されているが、妖魔に適用される道理はない。大っぴらにやられるのは困るが、他の家臣の目が届かぬところで、三人で祝うなら自由だ」
「いいの!?」
「あきちゃん、話分かる!」
「ね!!」
「とはいえ、子ども三人だけでは不安だ。団、お前が連れてきた妖魔なのだから、責任を持って保護者責任を果たせよ」
一二三と団右衛門は顔を見合わせ、互いの手を合わせ喜ぶ。一辺の曇りもない笑顔に、嘉明も思わず釣られて微笑んだ。
「よし、一二三! オレん家行くぞ、今すぐ準備だ」
「やったー!」
「手伝う!」
「ね!!」
団右衛門に引き連れられて、子ども達は部屋から出ていく。妖魔が異国の神を祝うなど、おそらく前代未聞である。しかし楽しむ姿を見ていると、それを否定は出来なかった。
(さて、私も起きなければ)