雪女がサンタクロース
第1章 雪女がサンタクロース
札が三人の額に張り付くと、三人は光に包まれ、成人した一人の男に変わる。三人の一二三は、合体し一人の大人にもなれるのだ。穏やかでのんびりした、顔に火傷の痕がある青年の一二三は、柱の影から出ると嘉明の肩を抱き中へ迎え入れた。
「これは明さん、ようこそおいでで。狭くて何もない家ですが、どうかごゆっくり」
「いや、なんであんたが主人面してんだよ。ったく……まあいいや、じゃあ一二三、オレは料理作ってるから、嘉明の事は頼んだぞ」
青年の一二三は多少人とずれているが、充分に常識を備えた妖魔だ。団右衛門は嘉明が雪ん子を抱えているのも気付いていたが、ひとまず一二三に任せて引っ込んだ。
嘉明が通されたのは、子どもの一二三達の成果だろう、木の葉が飾り付けされた居間だった。嘉明はふかふかした感触の藁に包まれた南蛮風の椅子に座らされ、一二三にまじまじと見つめられていた。否、正確に言えば、一二三が見つめていたのは雪ん子だった。
「明さん、この雪ん子、重くなってきてませんか?」
「ん? ああ、そういえば先程より、体重を感じるような……」