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アタシとアイツ【短編集】

第5章 第5章 映画館 *リクエスト



しばらくして辺りが暗くなり、映画が始まった。


映画は最近公開された純愛もの。


私はそれを食い入るように見つめ…ながらポップコーンを頬張った。


『もう離さないで』

『あぁ。離してって言っても離してやらないからな』


大画面でキスを交わす2人


私はそんなシーンを見て不覚にもドキドキと鼓動を高ならせてしまう。


キス…したいな。



そう思って、隣に座るユウに視線をやる。


するとユウはこちらを見て首を傾げ、微笑んだ。


ギュッ


私は慌てて向き直り、スカートの裾を握りしめた。


普段あんな態度を取っている分、いざ甘えたくなった時上手く甘えられない。


私はとりあえず自分の欲望を抑え込もうと、前を向いたままポップコーンに手を伸ばした。


その時だった…


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