アタシとアイツ【短編集】
第1章 1.先輩の本性
「た、タク先輩!!」
そこにはいつも遠くから見ていたあのタク先輩がいた
私は思わず叫んでしまったことに恥ずかしくなりハッと口をふさぐ
「君は…よく僕らの練習見てくれてるよね?」
えっ?
「分かるんですか?」
「うん。周りがキャーキャー言ってるのに君だけ言ってないからさ、逆に目立ってる」
一気に心拍数が上がり
顔が熱くなる
ずっと私が一方的に見てたと思ってたのに、タク先輩も私たちのこと見てくれてたなんて
嬉しすぎて緩みそうな口元を必死に隠した
「良かったら、ちょっと話さない?」
ええー!?
次から次へと夢のような出来事が起こっていることに
頭が着いて行かない
「嫌?」
そう言ってシュンとするタク先輩
「い、嫌なわけないです!
是非お話ししましょう」