アタシとアイツ【短編集】
第1章 1.先輩の本性
他の女の子に見られたらまずいだろ?
そう言って人気の少ない体育館裏に案内された私
「座りなよ」
体育館へ入る裏口にある石の階段に腰を下ろしたタク先輩は自分の隣を指さした
「あ、はい」
さっきから心臓が破裂しそうなほど早く、そして大きく脈打っている
「緊張してる?」
タク先輩はそう言って私の顔を覗き込む
カーッ
暗闇に慣れた目が、タク先輩のいたずらな笑顔を捉えるのは
そんなに難しいことではなかった
私は、言葉も出ずにとりあえず頷いた
タク先輩は私を気遣ってか
進んで他愛ない話をしてくれた
部活の話、学校の話、他にもいろんな話をしてくれて
気が付けば少し緊張も和らいでいた