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言葉で聞かせて

第7章 過去


急いでエレベーターで上がり、ドアを開ける

すべての部屋に電気を付けて探し回ったけれど


「いない……」
「おい!悠史!そっちはどうだ!?」
「だめ。どこにもいない」


「俺、もう一回千秋にメールしてみるわ」という敦史に「お願い」と返してから田中さんに電話をかけた

僕からの電話を待っていたのか、ワンコールが鳴り終わらないうちに電話が繋がった


『もしもし!』
「もしもし、田中さんですか?僕達今家に着いたところなんですが、やはり家にも千秋さんはいらっしゃいませんでした」
『そうですか……』


電話越しの田中さんの声が随分落胆している


「……田中さんの方はどうでしたか?」
『千秋さんとの待ち合わせで使うお店に何件も回ってみたのですが、千秋さんは来ていないと言われてしまいました』
「そう、ですか……」



そうだ!博秋さんのところに行ったのかもしれない
それでなくても連絡を取り合ってるかも


「すみません!ちょっと電話切ります!」
『え!?ちょっーー』


僕は一度電話を切ってからアドレス帳を開く
博秋さんの電話番号を知っているわけじゃないから姉の家に電話をかけた


繋がれ
早く

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