
言葉で聞かせて
第7章 過去
4コール後、ようやく姉さんが電話に出た
『もしもし、小野寺です』
「姉さん!?博秋さんいる!?」
『え?何?悠史?』
「博秋さんに代わって!」
姉さんは何が何だかわからない、といった風だったけど、博秋さんと代わってくれた
『もしもし?悠史くん?』
「博秋さん!千秋さんがどこに行ったか知りませんか!?急にいなくなってしまって……」
『千秋?知らないけど……え?いなくなっちゃったって……?』
僕は自分に落ち着くように言い聞かせてからゆっくりと事の顛末を話した
聞き終えた博秋さんはやけに冷静で、『そう……』と言ったきり黙ってしまった
何か考えがあるのかな
僕は期待して待ったけど、結局返ってきたのは特に何のこともない答えだった
『とりあえず、探せるところは探したんだよね?』
「えぇ」
『そしたら、連絡を待ってみるしかないんじゃないかな?』
「そんな呑気な……」
『千秋もいい大人だし、どこかに遊びに行っているだけかもしれない』
確かに僕達が千秋さんの交友関係まで知り尽くしているわけではない以上、僕達の知り得ないところにいるだけっていう可能性もある
待つしかない、のかな
結局千秋さんから連絡はなく
帰って来たのはいなくなってから3日後だった
