
言葉で聞かせて
第7章 過去
僕達が仕事を終えて帰るとマンションの電気が点いているのが見えた
「「!?」」
僕達が急いで上がり、ドアを開けるとそこには最近見なかった千秋さんの靴がちゃんと揃えて置いてあった
靴を脱いでリビングに入る
するとソファに横たわる千秋さんの姿が見えた
「いる……」
「いる、ね……」
聞きたいことは沢山あるがとにかく寝ているのを叩き起こしてまで聞くようなことはないだろう、とそっと寝室に運んでベッドに寝かせた
千秋さんを運んだ敦史はリビングに戻ると自分の腕を見つめながら
「千秋、軽くなった……かも」
と首を傾げた
「……頬が少し痩けてる気がした」
「……まじ?」
「うん……」
何かあったかな
千秋さんを傷つけるような、何か
明日の朝起きてきたら聞いてみよう
とりあえず無事で良かった
とにかく今は帰ってきたことに安心出来たので、心配していた田中さんと博秋さんに無事帰ってきたという旨の連絡を入れた
僕達は特にすることも無かったので、お互いの部屋に戻り眠りについた
次の日の朝、目が覚めると部屋まで漂う味噌汁の香り
あ……
なんだか、久しぶり
そうか、千秋さんが帰ってきたからか
心配から最近眠れない日々が続いていたため身体にはまだ疲労感が残っている
