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言葉で聞かせて

第7章 過去

言わなきゃ

僕達も貴方のことが好きですって


「……っ」


なのに何でか驚くほど喉が渇いて、声が出ない


好きな人に想いを伝えるのはこんなにも難しいものだっただろうか



お店の女性に囁くのとは訳が違う

さっきまで感じていたのとは違う痛みに襲われる



「僕も、千秋さんのことが好きです」
「俺も千秋のことが好きだ」


僕達の言葉に千秋さんは勢いよく顔を上げた


「!?」


そしてその目にたくさんの涙を溜めて僕達に抱きついた


あぁ
可愛い
可愛い
可愛い


出来るならその涙を舐めとりたいところだけど、流石にそれは引かれるだろうから指で拭ってあげた

優しく笑った千秋さんにキスしたい、と思うのと同時に口から


「キスしてもいいですか?」


と出てしまって口を塞ぎたくなる

でも恥ずかしがっている僕と裏腹に千秋さんは嬉しそうに微笑んで、僕の膝の上に座った


そして見上げるようにしてしたキスは今までしたことのないくらい暖かくて、柔らかくて

目を開けた時にまた微笑んだ千秋さんに心臓が壊れそうになった



「千秋、俺にも」


拗ねたような声を出して目を瞑る敦史に千秋さんはくす、と笑い敦史にもキスをする

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