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言葉で聞かせて

第7章 過去


僕はまだ僕の膝の上に座っている千秋さんを強く抱きしめた

細いその身体が少しだけ揺れた


「あっ……」


と、そこで思い出して身体を離す

千秋さんは身体中傷だらけだったことを思い出した


「ごめんなさいっ」


僕が謝ると千秋さんと一緒に敦史も笑う
そして敦史は千秋さんの両脇に手を入れて持ち上げると、今度は自分の膝の上に千秋さんを座らせた


「大事にしてやらねぇとダメだよなぁ?店の女共より」


敦史はそれまで見たことがないくらい千秋さんを優しく抱きしめる

それから顔にかかった髪を手で避けると、自然な動作で千秋さんにキスをした


なんか、ジェラシーを感じてしまうな……
双子の弟で、誰よりも敦史の幸せを祈っていたのに


敦史は唇を離すと優しく微笑んで千秋さんの頭を撫でている


「今日は疲れたろ。そろそろ寝ろ」
「そうですね。そろそろ就寝しましょう」


僕と敦史の言葉に千秋さんは少しだけ表情を曇らせる


「どうかしましたか?」
『寂しいな と』


照れ臭そうに笑う千秋さんをもう一度抱き締めたくなった

僕が自分の欲求を抑えていると、敦史が何でもないことのように


「なら一緒に寝ればいいじゃねぇか」


と言った

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