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言葉で聞かせて

第1章 姉から突然の呼び出し


「流星、お客様が待っていますよ。行きましょう」
「あぁ」

悠史に声をかけられて俺と悠史、二人組の客は席に向かった



ホストってのは基本的に相手の話を聞いてそこに花を添え、それを上手く口説き文句に変えていくのが仕事

でも、安い少女漫画みたいな直接的な表現はしない

焦らして焦らして
その後にとびきり甘い言葉を囁いてやる

そうしてまた店に来るように仕向けるんだ

ホストクラブは媚薬のようで、麻薬

いいキャストが付けば付くほどハマって抜け出せなくなる


テーブルの上には大量の酒の瓶がある
飲むものから飲まないものまで

クソ高いこれを机に置いておくことが客にとっては一種の自慢なんだと

自分はこれだけこの男に貢いでるのよ

ってさ


俺の腕に胸を押し付けながら女が俺の耳元に口を寄せる


「ねぇ、流星?今日わぁ、アフター、いい?」


焦らすように囁かれて、俺は悠史の方を見た

悠史も俺の方を見ていて、目が合う


ーーだよな


俺は顔のニヤつきを抑えられない


「悪いな。今日はダメなんだわ」
「え〜〜〜〜!?」
「今度、埋め合わせしてやるからさ」

残念そうに眉を下げる女の前髪に俺はキスをした

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