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言葉で聞かせて

第2章 体調不良と猫

そうして待っていて出来上がった紙に書いてあったのは


『ありがとうございます、悠史さん。だけど年なんて関係ないんです。長く生きた方が偉いなんてらことはありません』


と言うなんとも真面目で誠実な言葉だった


謝らなければいけないな
この人は人に頼りきって生きてきてなんていないんだ

千秋さんはちゃんと、自分の考えを持った人なんだ


僕は次に千秋さんに何と言えばいいか考えたけれど、千秋さんが次に紙を見せる方が早かった


『私生活には介入禁止、って決まりです。だからもう大丈夫です』


さっき見せられたものに少し書き足したその言葉に、僕の心は何故だか焦りを感じた


このまま放っておいてはいけないような
ただ僕がもう少しこの人と話したいだけのような

いろんな感情が混ざり合った焦り


「……看病は相手が治るまでするものです。もう少しだけ、看病をさせてください」
「……」


考えるような間が空いてから、千秋さんは首を縦に振った


「良かった。とりあえず、着替えをしましょうか。お風呂に入りますか?」
『お風呂、入りたいです』
「わかりました。今、沸かしてきます。待っててください」


僕は胸を撫で下ろしながら浴室へ向かった

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