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言葉で聞かせて

第2章 体調不良と猫

浴槽に程よく温かいお湯を張って千秋さんの部屋に戻った


「お風呂沸きましたよ」


また布団に入っていた千秋さんはゆっくりと身体を起こす


「熱は大丈夫そうですか?」
『少し前に計ったらもう平熱でした』


もう下がったか
良かった


「着替えとかは大丈夫ですか?」


千秋さんは頷いて、ありがとうと言うように軽くお辞儀をして浴室に向かった

少し幼さを感じる後ろ姿が妙に可愛らしくて、僕の頬が緩んだ


千秋さんが出たら僕も入ろうかな


少しの間待つことになるため、僕はソファで先ほど読んでいた小説の続きを読むことにする



30分か、もう少し待った頃浴室の扉が開く音がした

廊下を歩く音が聞こえてきて、リビングに千秋さんが入ってきた

湯上りで上気した頬に、シャンプーのいい香りがする乾かしたての髪

可愛い、なんてまた考えてしまって自分を心の中で叱責する


年上なんだから、可愛いだなんて失礼だ
でも、見た目が見た目だからなぁ


暫く千秋さんを見たまま考えていると千秋さんは不思議そうに首を傾げる


「あ、えぇと……僕も冷めないうちにお風呂入ってきますね」


これくらいで動揺するなんて、らしくないな


僕はそそくさと薬室に向かった

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