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言葉で聞かせて

第9章 鳴き声、泣き声

次の日は俺はアフターに行って朝帰り
だから結局千秋の病院に行ってきた話を聞けたのは行く、と聞いてから二日後の朝だった

休みだからと朝のんびり起床してゆっくり朝食を取った後千秋がカバンの中から机の上に白いものを出した


「ふーん……これがその薬?」


目の前に置かれたのはただの錠剤
精神的な問題でもカウンセリングとかじゃなくて薬で治るのか、と感心しながら眺める


『薬は飲みますが、やっぱりリハビリもするんですよ』
「まぁそうだろうな。何年も声を出してなかった奴が薬で突然出るようになるとは思えねえし」


穏やかに笑う千秋にコーヒーを差し出した悠史は千秋の頭を撫でながら席についた


「心因性の場合は心のケアが1番の課題だと思いますけどね」
『僕の失声症の原因はもう解消されたも同然ですからね。お医者様もそこまで治療に時間はかからないだろうと仰ってました』
「そうですか。なら良かったですね」


微笑んだ悠史は俺にも視線をよこしながら言った


「なら、今日はせっかくお休みですし美味しいものでも食べに行きましょうか。千秋さんの全快祝いも兼ねて」


全快祝いって……


「ははっ、いいね。行こうぜ」

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