テキストサイズ

言葉で聞かせて

第9章 鳴き声、泣き声

「もらえねぇだろ。これオークションでも結構高値つくぞ?」


その作品は金を出した会社と監督が揉めたためDVDは発売直後に販売停止になり、テレビでも再放送することが出来ないという所謂プレミアもの


「やめとけよ。いらねぇなら売れって」
「いいんです!今日のお礼に……敦史さんに貰って欲しい、から……」


顔を赤くする流に俺はどうすればいいのか、と困惑してしまう


なんだ本当に
相談だと呼び出されて来てみれば内容はたいしたことなく
お礼にと俺の好きなものを差し出された


前のヘマしたことの侘びのつもりか?


ううん、と悩んだが頑なに俺に押し付ける流に申し訳なくなって結局受け取ってしまった


「じゃあ貰うわ。ありがとな」


お詫びにわざわざこんなもん用意したのか
すげぇな


なんて思っていたのだが流が映画好きだと言うのに嘘はないらしく、それから飯を食う間ずっとその監督の作品について二人で語り合った


「あーわかるわ。それ俺もすげぇ好き」
「いいですよね!ラストのシーンに繋がるフラグ回収が上手くて……!!」


こんなに話が合う奴なんて久しぶりかも
悠史は映画より小説派であんまこういう会話付き合ってくれねぇし

ストーリーメニュー

TOPTOPへ