
言葉で聞かせて
第9章 鳴き声、泣き声
そんなある日
控え室で準備していた俺に悠史が近づいてきた
「……敦史」
「ん?なんだ?」
「最きーー」
最近、と言いかけた悠史の言葉を遮って、俺の背中に衝撃が走る
「ぅ、わ!なんだ!?」
「敦史さん!」
後ろから俺に抱きついてきたのは昼にも会って飯を食ってきた流だった
「あ?なんだ?」
「今日っ仕事が終わったらご飯食べに行きませんか!」
「あぁーー」
いいぜ、と言おうとしたその時、俺の肩を悠史が掴んだ
「ちょっと敦史」
ーー話があるんだけど
ーー……それって今日じゃなきゃだめなのかよ?
ーー当然でしょ
そんなアイコンタクトを交わしていると俺の視界の端から今度は悠史に体当たりをかました人間がいた
「わわ!?……楓くん?」
内藤は流と同じように悠史の腰に抱きつくと、頬を擦り付けながら流を見た
「いいなぁ流たん今日流星さんとご飯食べに行くの〜?俺も行きたい〜聖夜さんも行こ?」
「えっちょっと楓くん?」
動揺する悠史に俺たちについてくると言いだした内藤
「ねぇいいよね?流くん」
「えっ……と、あの……」
話を振られた流も悠史と同じように動揺してしまう
