
言葉で聞かせて
第2章 体調不良と猫
大丈夫かな
結局落ち着かなくてカウンター越しに千秋さんを見ていると、手つきは随分慣れたもので安心する
暫く待っていると千秋さんがキッチンから出てきた
コトン、と小さな音を出して目の前に置かれた皿には美味しそうな料理が乗っている
「すごいですね。美味しそう」
素直な感想を言うと千秋さんは嬉しそうにまた微笑んだ
その笑顔を見届けてから料理に箸を伸ばす
「!!美味しい!」
最近まともなものを食べていなかったことを差し引いても、とても美味しい
僕の少し大きな声に反応して千秋さんは身体を揺らしたけど、すぐにまた嬉しそうに笑った
「美味しいです。お料理お上手なんですね」
千秋さんを寝かせることも忘れて目の前で次々料理を口に運び、結局食べきってしまった
「ご馳走様でした」
「!」
完食してもらったことが嬉しいのか千秋さんも機嫌が良さげだ
僕は食器を下げて千秋さんに声をかける
「さて、そろそろ寝ましょうか」
僕の言葉に反抗するでもなく立ち上がり千秋さんの部屋に向かった
一応念のため、と氷枕を頭の下に敷いて布団をしっかりかけた
「おやすみなさい」
僕が声を掛けて部屋を去ろうとすると、千秋さんが僕の服の裾をくん、と引いた
