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言葉で聞かせて

第9章 鳴き声、泣き声

「はぁ……何なんだお前ら。こんな時間にこれからどこ行くってんだよ」
「そうですよ。ここのお店は楓くんのお知り合いだったみたいなのでお世話になれましたがこの時間で他のお店に行くのは難しいと思いますよ?」


俺の言葉と悠史のフォローに、内藤も流も負けるだろうと高を括っていたのだが


「そんなことないよ!」
「そうです!まだ行ける所あります!」


と反論してきた


まさかカラオケとか言わねえよな
こいつらと仲良くお歌を歌うなんて御免だぞ


「こっちこっち!」
「ちょっ……?」


悠史の腕を掴んだ内藤が強引に歩き出すと、流は俺の腕を掴んで引いた

そうして連れて行かれたのは


「ほら!ここなら、時間なんて関係ないでしょ?」
「はいっ」
「……」
「ここ、って……」


夜中で
腹はもう一杯で食いたいものがあるわけでもなく
カラオケでもない

さらに全国どこでも大抵あるものといったら


「……ラブホかよ……」
「ね?何時間でも話せる」


俺の方に振り向いたと思った内藤はしかし流に向かってウインクをした


あーーー
策略だったってわけね

店の前で話していたのってもしかしてこれか?

くだらねぇ……

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