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言葉で聞かせて

第9章 鳴き声、泣き声

「あ……っ」と小さな声を出したが無視して俺は流の手を振り払った
さらに悠史の腕を掴んでいた内藤の腕も払う

そして


「敦史?」
「……」


俺は悠史の腕を掴んで歩き出した

残された二人は特に引き留めてくる様子もなく呆然と突っ立ってるだけ


イライラしながら歩き続けて、残された二人も見えなくなったところで悠史が手を少し引いた

立ち止まって振り返ると「手繋がれてなくても歩けるよ?」と笑っている


「チッ……」


俺は舌打ちして手を離す


「なんか意外だったな」
「何がだよ」


「んー?」と惚けた声を出しながら悠史はゆっくり歩き出す

それについて俺も歩き出すと少し振り向き気味に悠史が笑った


「ホテル。行くかと思った」


笑みとは違いでてきた言葉は突拍子もないこと


「あぁ?なんでだよ」


意味がないとわかっていながらも悠史を睨みながら理由を尋ねると、「俺も人のこと言えないんだけど」と前置きしてから語り出した


「敦史は性関係、緩いでしょ?だから」
「だから、俺があいつらとでも寝るかと思ったって?はっ……馬鹿馬鹿しい。ありえねぇよ」


俺の返事を聞いた悠史はくすくす笑っている


なんか上機嫌だな

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