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言葉で聞かせて

第9章 鳴き声、泣き声

「そうでもないんじゃない?だって現に僕たちは千秋さんと交際を始めてからも普通にアフターに行っては女性のお相手をしてるわけでしょう?」


確かにそうだ
普通の感覚で言ったら俺たちの行為は浮気だと捉えられかねない


「……」


俺が黙っていると悠史も俺に何も言わずに続ける


「だから、例えば人間関係を良好に保つためとかのために一晩相手をするっていうのも敦史は無くもないのかな、と思ったんだよ」


わかんなくなってきた
俺がなぜ今日あんなに腹立ててその場を去ったのか

確かに職場の人間関係を良くしたいなら拒むべきじゃない

今日迫ってきたのは後輩だったから別になんの支障もないが
じゃあ先輩だったら?

むしろオーナーや店長だったら?

俺はどうした
どういう行動に出た?


突然考えに耽ってしまった俺を楽しげに眺める悠史に苛立って


「……悠史は、あのまま俺が何もしなかったらどうしたんだよ?」


と聞いてみた


「僕?僕はね………」


しかし答えようとした悠史は途中で言葉を止め、黙り込んでしまう


「?」
「ふふ……秘密」
「はぁ?お前人に聞いておいて……」
「だって僕が答えを出したら敦史はそれに影響されちゃうでしょ?僕は敦史の答えを聞きたいんだよ」
「……」

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