
言葉で聞かせて
第9章 鳴き声、泣き声
俺の答え……ね
黙る俺を悠史は微笑みながら見つめている
「早く帰ろう、敦史」
「……あぁ」
俺たちが家に帰ると、普段ならもう寝ているはずで電気も消えているはずのリビングから電気が漏れていた
「ただいま……っと……千秋さんまだ起きてるのかな?」
「?」
廊下を進んで、ドアを開ける
千秋はラップされた夕食と共に机に突っ伏して眠っていた
「あれ、寝てる……し、ご飯?」
「飯いらねぇって連絡したよな?」
「僕はちゃんとしたよ?敦史は?」
携帯を開いて見ると、電波障害によるエラーメッセージが表示されていた
その画面を横から覗いた悠史が笑う
「僕のはちゃんと届いていたみたいだから、これ敦史の分だね?待っててくれたんだ」
「……」
悪いことしたな
ちゃんと確認するべきだったかもしれねぇ
俺は机だからか若干寝苦しそうな顔をする千秋の頭をそっと撫でた
「今日は俺だよな?」
その様子を見ていた悠史に尋ねる
「うん」
「……寝る」
「おやすみ」
「あぁ」
俺は千秋を抱き上げて部屋に向かった
悠史は机の上に残った皿を冷蔵庫にしまってくれている
