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言葉で聞かせて

第9章 鳴き声、泣き声

部屋に入って自分のベッドに千秋を下ろすと、さっきとは違って安心した顔になる


その顔を少し見てから適当にスーツを脱いだ

パンツと、上に薄いTシャツだけ着て俺も横になる


今日あいつらを拒んだ理由
騙すような真似されたってのが一番だと思ってたんだが

正統に攻められたとしても、揺らがなかった自身が何故だか俺にはあった


千秋の綺麗な黒髪を弄りながら今日のことを思い返す


男抱くのも抱かれるのも嫌だった、とか


「……」


なんか違う


相手が悠史なら、と一瞬考えて
この前のことを思い出しそうになったからやめた


三崎さん、佐伯さん……

頭に数人思い浮かべてみるが、やっぱり答えは出ない


「んーー……」


ベッドの上で寝返りを繰り返し、結局答えは出ないまま俺は眠りについていた



口元に何かが柔らかく当たる感触で目を覚ます
目を開くと当たっていたのは黒い……

千秋の髪の毛で


俺の腕の中に綺麗に収まった千秋は俺の胸で安らかな寝息を立てていた


どっかで一回起きて俺の腕の中に入ったのか
俺が寝ぼけて抱き締めたのか


どっちにしろこんな穏やかなの久しぶりで和む

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